Artist
おれちょ本多
私は「視点により創られる現実世界」をテーマに、現代美術としての絵画を制作しています。
ファッション、ロックミュージック、デザイン、精神世界、量子力学、仏教思想などの分野から得た洞察や気付きが起点になり、多様な視点が可視化される現代社会に関心を持つようになりました。
そしてキュビスムの多視点表現に影響を受け、多視点で世界と現象を捉え、自らが視点を選び、現実世界を創るというテーマにたどり着きます。
テーマに対しての最適な表現として、ホログラム素材に透明な絵の具を用いて “輝きを描く”という独自の技法を生み出しました。
この技法により「視点により創られる」すなわち視点によって見え方を大きく変える絵画表現を可能にし、同時に鑑賞者に視点を意識的に選ぶことの重要性を問いかけます。
また作品内に意図的な「空」の場を作り出し、情報化によって欠けたものを感じる現代社会を視覚化することを試みています。
モチーフには自身で撮りためた写真の中から、日常の風景や植物を多く描いており、これらホログラム素材を用いた作品群を「輝く特別なもの Series」と名付けました。
私が考える “特別” という言葉のイメージと、ホログラム素材の光によって大きく表情を変える変容性、状況によって色を失ってしまう儚さが重なりました。
加えて、私の幼少期に社会的ブームだったビックリマンシールの記憶が、ホログラムへの憧れとして結びついています。
私の創作活動のベースとなったものは、生まれ育った日本の漫画やアニメーション、ロックミュージックからの影響でした。
特に手塚治虫の漫画作品「火の鳥」の中で描かれた「生と死」「輪廻転生」といったテーマは、現在の創作における思想の起点です。
自身の表現を模索するなかで、村上隆、奈良美智、草間彌生といった日本を代表する現代美術家にも影響を受け、ビョルンダーレム、アニッシュ・カプーア、ジェームズタレルといった現代彫刻家の作品にも感銘を受け、自身が抱えている疑問や思想が制作のテーマとなっていく過程で、現代美術におけるコンセプチュアルアートの文脈や、キュビスムの思想、表現の文脈も意識するようになり、作品の中に視点によって変化する余白を含ませたいと考え、半立体作品やミクストメディア作品を制作しています。
私は情報が爆発的かつ加速度的に肥大を続ける現代において、「情報の選択と捉え方」を意識的にコントロールする感覚は、人々がより理想的な世界で生きるための力になると考えています。
そして「誰もが己の枠を超え成長し続けている」ことを作品を通して伝えられるよう制作を続けています。
アーティスト名の「おれちょ」は制作における基本コンセプト「己の枠を超えて挑戦し続ける」という意志を象徴しています。